クルマを運転していると、消耗品の交換が発生します。その代表的な物がタイヤです。しかし交換のタイミングがよく分からない方が多いのも事実です。
ガソリンスタンドの店員さんに、『残り溝が少ないですよ』ディーラー整備士に『タイヤのひび割れもありますし消費期限が近いので、そろそろ交換しましょうか』と言われ、やむを得ずタイヤを交換した方多いと思います。
そんな分かりにくい、タイヤのメカニズム車屋の私がお教えします。ぜひ最後までご覧ください。
劣化したタイヤの危険性
タイヤには溝がありますが、使用限度があり限度を過ぎるとブレーキの制動距離が伸び、スリップなどの危険が伴います。また雨の日はハイドロプレーニング現象が発生しやすくなります。
ハイドロプレーニング現象とは、雨天走行時や水たまり侵入時にタイヤと路面の間に水の層が発生しクルマが浮いた状態になり、ハンドル操作やブレーキが利かなくなる現象です。
通常雨水などは、タイヤの溝によって排水を行いながら走行します。溝が減少すると排水の限界が低くなので、限界を超えるとハイドロ状態になりやすいのです。
また、タイヤの空気圧不足や速度の増加でハイドロプレーニング現象の危険性が一気に増加するので、雨の日の高速道路は要注意です!!
実際私も事故をしました。夏の雨の日、高速道路で単独事故を起こした車両を引き上げに行った時の話です。急にハンドルが軽くなり、エンジンの回転数(タコメーター)が急に上がったので、あわててブレーキを踏んで路肩に寄せようとしたが、車が横を向いてしまいそのまま滑って壁に激突!
速度は60㎞、タイヤは溝の少ないスタッドレスタイヤでした。スタッドレスタイヤは、雪には強いですが雨の状態ではノーマルタイヤより危険です。
タイヤの日常点検
タイヤは路面と接している唯一の部品です、日頃から点検し、適切なタイヤメンテナンスを行えば、タイヤライフを延ばす事も出来ます。
安心、安全なカーライフを送るためには、まず点検を行いましょう。
スリップサインを確認しましょう
新品タイヤの溝は、メーカーにもよりますが溝の深さが8㎜~8.5㎜位あります。1.6㎜以下になるとスリップサインが現れて、タイヤ交換の目安になります。
スリップサインは定期的に確認が必要です。
赤〇がスリップサイン、タイヤ横に△マーク、たて溝に突起があり、この部分までタイヤを消耗すると残り1.6㎜になります。
ちなみに、タイヤの溝1.6㎜以下は車検に通りません。車検に通らない=整備不良ですので交通違反(走行装置整備不良車運転違反)で違反点数2点の青切符になります。
もし、スリップサインに到達していたら、即タイヤ交換しましょう。
タイヤにひび割れがないか
タイヤがひび割れおこした状態で走行し続けると、バーストする恐れがあります。画像のようなひび割れの場合は交換を検討しましょう。
この状態でも走行は可能ですが、高速道路などスピードを出して走行する場合は注意が必要です。高速走行を続けると、タイヤが熱を持ち内圧が上昇します。
通常内圧が上昇しても、圧力が均等に分散するので問題ないのですが、ひび割れがあると弱い部分に圧が逃げるので、ひび割れ部分からバーストする可能性が高いので非常に危険です。
出展:一般社団法人 日本自動車タイヤ協会
もし、レベル5ならバーストするレベルです。すぐにでも交換しましょう。
製造年月日に注意
タイヤには4桁の刻印があり製造年週を表してます。前2桁が週、後2桁が年になります。画像は0415なので2015年の4週目(1月の終わり頃)製造です。
タイヤの寿命は約10年と言われてます。使用環境にもよりますが、5年目位からタイヤの硬化、ひび割れ等の劣化が目立ち始めます。スタッドレスタイヤは3年で寿命と言われております。
実際、5年目位のタイヤは硬化しクッションの役割を失うので、乗り心地が悪くなりロードノイズも増加するので、新品タイヤに比べ不快感が増します。
もし、タイヤが5年以上経過しているのであれば、交換も視野にいれておいた方がよいです。
タイヤのメンテナンス
タイヤを長持ちさせるためには、チョットした手間とコツが必要です。そんなに難しくもないので今すぐ始めましょう。
空気圧はまめにチェック
タイヤの空気圧は高すぎても、低すぎてもダメです。空気圧が低すぎると、タイヤの設置面積が大きくなり燃費の悪化や、パンクのリスクが増えます。
逆に高すぎる場合は、乗り心地の悪化やタイヤの片減りなどをおこし、直進安定性の悪化の原因になります。適正空気圧は、運転席ドアのラベルや取扱説明書に記載してあります。
最近のクルマには、タイヤ内に空気圧センサーを搭載し、メーターにタイヤの空気圧を表示したり、異常が発生すると警告するTPMS(Tire Pressure Monitoring System)が普及し、便利になりましたが、新しいシステムなので誤差や、故障が多いのも事実です。
確実なのは、自分の目で確かめる事です。月に一度は空気圧を確認しましょう。ガソリンスタンドであれば、無料で空気入れを借りれます。
タイヤの空気圧を調整するときは、自分で行うようにしましょう。ラベル記載のように使用する環境によって、設定空気圧は変わります。ガソリンスタンドの店員さんは、あなたの車の使用環境まで把握してませんからね!
また、最近の車はスペアタイヤが搭載されていない場合が多く(オプション設定が多い)代わりにパンク修理キットが搭載してます。パンク修理キットは、空気補充と同じやり方なので、空気圧調整のやり方が分からなければ、パンク修理も出来ません。
タイヤは水洗い
洗車の際、カーシャンプーでタイヤも一緒に洗っている方をよく見かけますが、タイヤにはよくないです。
カーシャンプーのほとんどはアルカリ性の溶剤で、泥や油汚れには効果がありますがタイヤのゴムの成分には、このアルカリがダメージになります。
ひび割れの原因は、紫外線や経年劣化が大半ですが、タイヤワックスもひび割れの原因になるので、注意が必要です。
タイヤワックスには水性と油性が有り、油性の方が耐久性、艶、値段も安価なのです。油性ワックスの石油系溶剤がタイヤの劣化防止剤と反応し、タイヤに含まれる油分が流れ出てしまうのでひび割れを促進してしまいます。
タイヤワックスを使用する際は、水性ワックスを使用しましょう。
ホイールは洗剤を使った方が良いですが、タイヤを洗う際は、水とブラシで洗いましょう。
タイヤの保管方法
もし、タイヤを履き替えて保管する場合は、雨風や日光に当たらない場所に置いときましょう。
タイヤは湿気や紫外線で劣化するので、画像のような収納袋に入れてなるべく横置きで(縦置きで長期保管すると、底面が変形する恐れがあるため)保管しましょう。
場所に余裕があれば、室内や倉庫保管ベストです。タイヤ屋さんなどで、有料タイヤ保管サービスを行っているところもあるので、利用してみるのも一つの手段です。
まとめ
タイヤは車を動かす上で、非常に重要な役割をはたす部品です。せっかく新品のタイヤに交換しても、間違った手入れや、保管方法では長持ちしません。
適正な空気圧、水洗いを行い、保管する際は、雨風や日光避け、適切に保管しましょう。
また、タイヤの残り溝、ひび割れ、製造年月日は目視で簡単におこなえます。今すぐにでも行いましょう。安全で快適なカーライフを送るためにも、タイヤについて考えてみてはいかがでしょうか。