クルマを維持するのに必ず必要なエンジンオイルの交換。定期的に交換する必要があるので自分でやってみたいと思う方も多いと思います。
オイルの重要性やオイルの選び方は以前に紹介したので参照してみてください。
オイル交換はお店で交換する以外にも自分で交換する事も出来ます。また交換方法も2種類あり、それぞれメリットとデメリットがあります。
車屋の私がエンジンオイル交換の方法を伝授いたします。最後までご覧ください。
下抜き方式
オイル交換のエンジンの設計上、基本は下抜き方式です。
自動車の殆どが、底面にあるオイルパンにオイルを溜めておきポンプでエンジン上部に汲み上ます。
重力でプールのウォータースライダーのようにエンジン内部を駆け巡ることで、エンジンの潤滑と冷却を行いオイルパンに戻る流れを繰り返します。
オイルパン下部にはドレンボルトが付いており、ボルトを外すことでオイルパンに溜まった古いオイルを排出します。
このようにドレンボルトを外しオイルを下部から抜く方法を下抜き方式とよびます。
上抜き方式
最近のオイル交換の主流は上抜き方式です。
エンジン上部にはオイルパンに繋がるオイルレベルゲージ(BMWの一部を除く)が付いており、ゲージに付着するオイルの位置で、エンジンオイル量を管理します。
オイルレベルゲージの差し込み穴にチューブを差し込み、オイルチェンジャーで古いオイルを吸い上げる事で排出します。
機械を使ってエンジン上部から抜く方法を上抜きとよびます。
それぞれのメリットとデメリット
上抜きと下抜きのオイル交換には特徴があり、作業内容も一長一短なので、それぞれ説明していきます。
下抜きのメリット
- オイル交換とエレメント交換を同時に出来る
オイルエレメントはオイルパンそばに有る場合が多いので、リフトアップを行い作業を行う下抜きとの相性が良いです。 - ドレンボルトの鉄粉を除去できる
ドレンボルトには磁力がありエンジン内部の鉄粉の循環を抑え留めておく機能があります。ドレンボルトを外す下抜きでなければ、ボルトの掃除は出来ません。 - 車体の下回り点検が可能
オイル交換するのにリフトアップを行うついでに、・オイル漏れの有無・ドライブシャフトのブーツ破れの点検等を、同時に行えます。
オイル漏れやブーツ等のゴム類の破れがあると、車検不合格になるので定期的な下回りの確認は必要です。
下抜きのデメリット
- リフトアップ(ジャッキ)の必要がある
オイルパンは車両下部に存在するので車両下に潜る必要があるため、リフトやジャッキを使って車を持ち上げなければ作業できません。 - オイルパンのネジ山を破損や、ボルトの締め忘れの可能性がある
ドレンボルトを外しての作業なので・締めすぎ・締め忘れの可能性があります。特にアルミ製のオイルパンはネジ山をなめやすいので要注意です。 - アンダーカバーを外さなければ作業出来ない
最近の車両は車体下のアンダーカバーでほとんど覆われており、脱着を行わないとオイル交換出来ない車両が増えており手間がかかります。
ジャッキを使用する際は必ずウマ(リジットラック)を使う!!
下回りの作業や、タイヤ交換で必要になるジャッキアップ作業。油圧のフロアジャッキ、ネジ式のパンタグラフで車体を持ち上げて、そのまま作業を行う方がいますが大変危険です。
必ず画像に有る赤い土台ウマ(リジットラック)で、車体を支えてから作業を行うのが正解です。毎年ジャッキが倒れて下敷きになる事故が発生しています。
必ず、平らな場所でジャッキアップを行いウマを使いましょう。
上抜きのメリット
- 簡単にオイル交換が出来る
面倒なジャッキアップの必要がなくすぐに作業を行えます。手動式ポンプであれば出先でも簡単に短時間でオイル交換を行えます。 - 廃油をこぼすリスクが減る
オイルチェンジャーで吸ったオイルはタンクに溜まるので、廃油処理も簡単に行う事が出来ます。 - パッキン交換が不要
オイルドレンボルトには漏れ防止に再利用不可のパッキンを使用しますが、上抜きの場合は、ドレンボルトを外さないのでパッキン交換は不要です。
メルセデス製造のスマートはオイルドレンボルトが存在しません。オイルパンからの排出が出来ないので、下抜きではなく上抜きでしかオイル交換が出来ません。
上抜きのデメリット
- オイルチェンジャーを用意する必要がある
下抜きの場合は基本的な整備工具があれば作業できますが、上抜きの場合は必ずオイルチェンジャーがなければ作業できません。 - エンジンオイルの温度を確認しなければならない
オイルレベルゲージに差すチューブは樹脂製が多くオイルの温度が高いと変形してしまいます。逆に温度が低いとオイルが固いので、なかなか吸い出せません。チョットしたコツが要ります。 - 車種によっては抜けきれない
オイルレベルゲージが細かったり、曲がっていたりするとチューブが奥まで差さらない場合や、オイルの傾きを抑えるバッフルプレートに引っ掛かり抜けきらない場合があります。
BMWの一部車両は、オイルレベルゲージがないため上抜きが出来ません。オイル交換は下抜きで行います。
オイルゲージの代わりにオイルセンサーが付いているので、iDriveでオイル量を確認するか、メーターにあるインフョメーションの項目で確認する必要があります。
動画にしてみました参考にどうぞ
新しいオイルを入れる
廃油の抜き取りが終わったら新油を規定量入れればオイル交換は完了になります。画像のようなオイルジョッキがあると、こぼれにくいのであると便利です。
オイルの量は必ず確認!!
オイル交換後は暖気運転をおこない一度オイルを循環させます。エンジンを切ってオイルゲージでオイルの量を確認したときに、オイルレベルが真ん中位にあればOKです。
廃油処理
廃油は処理箱に入れて処分するのが一番簡単です。(各自治体の廃油回収方法の確認が必用です)
最後に
エンジンオイル交換は、整備の中でも一番基礎的な作業です。またオイルチェンジャーがあればATF(オートマオイル)の交換もDIY可能です。
DIYでオイル交換を行えば、交換工賃や待ち時間を節約できるのでその分オイルのランクを上げる事もできます。
しかし工具や作業場所を用意する必要があるので、条件がそろわない場合はカー用品店等で行った方が良いです。
私の場合は上抜きと下抜きを交互に行っています。オイルフィルターをオイル交換2回に1回交換しているので普段は上抜きで時短作業、フィルターを交換する際は下抜きで、ついでに下回りのチェックを行っています。
クルマのDIY第一歩は、オイル交換ともいわれています。オイル交換をマスターしてカーライフを楽しんでいきましょう。