メンテナンス

車屋が教えるLEDヘッドライト仕組みや、電球交換について

LEDヘッドライト

最近、純白の光で走るヘッドライトを見かける機会が、増えてきました。純白の光の正体は、家庭用電球の代替品で定番になったLEDです。

以前は、HIDやディスチャージライトとよばれるxenon(キセノンガス封入)タイプが主流でしたが、社外LEDライトの普及もありヘッドライトのLED化が普及しています。

そんなLEDバルブについての特徴やメリット・デメリットを車屋の私が解説しますので、最後まで御覧ください。

LEDとは?

LED信号

LEDとはLight Emitting Diodeの略で日本では、発行ダイオードとも呼ばれています。特性をまとめると

  • 寿命が長い(白熱球の約40倍)
  • 消費電力が少ない(白熱球の約6分の1)
  • 発熱が少ない(その他電球に比べ)

他にも白熱球は光が360度方向に拡散するのに対し、LEDは一方方向に向かって光が出る指向性の強さや・赤外線・紫外線の放出が少ない性質があります。

また、R(レッド)G(グリーン)B(ブルー)それぞれのLEDがあり、光の三原色を表現できるので、光量を調整することにより瞬時に色を変えることができます。

さらに、水銀等の有害物質を使わないので処分も簡単です。

このことから、LEDは高効率でありながら、有害廃棄物を減らす事ができるので環境保全に有効と言われてます。

自動車用ヘッドライトバルブ(バーナー)の見方

自動車用品店には、様々な純正交換用ヘッドライトバルブやHIDバーナーが販売されていますが、どれを基準に選べばいいのか分からない方も多いと思います。

そこで、パッケージに記載してある数値をそれぞれ説明します。

色温度はケルビン(K)

ケルビン表

ケルビン(K)は色温度のことで、色合いを決めるのに参考にする値です。色温度が高くなるにつれて冷色になり青~紫色へ変化します。

ヘッドライトバルブを交換する際、4000K(ケルビン)辺りのオレンジっぽい暖色系よりケルビン数の高い6000Kオーバーの青色に交換する方が多いのですが注意が必要です。

光は、色温度が高くなるにつれて光の波長が短くなります。波長が短いと雨や霧などに対して光が反射してしまうので注意が必要です。暖色や黄色は波長が長いので光が透過しやすく悪天候には強いのです。

白色、青色の方が見た目は良いのですが、悪天候の日は、逆に視界不良になってしまうので、純正バルブは4300ケルビン(K)前後が多いです。

ヘッドライトの前照灯=ハイビームおよび、すれ違い前照灯=ロービームは、その基準がいずれも各々、「白色ですべてが同一」という保安基準があるので、純正の暖色~白色の範囲でなければ、車検に合格しません。

青や紫は違反になりますし、左右色違いは論外です!

また、平成17年12月31日以前に製作された自動車は白または淡黄色(イエロー)のヘッドライトでも問題ありません。

前部霧灯(フォグランプ)については、「白色または淡黄色で、全てが同一のものであること」なので現行車両でも、イエローバルブの使用はOKです。

光の総量はルーメン(lm)

カンデラとルーメンの関係参考画像 fcl.com

ルーメン(lm)は光の明るさを示す単位です。ルーメンの値が高いほど光束(光源から放射状に伸びる光りの線)が増えるので、明るくなります。

家庭用LED電球は、360°方向に明かりを照らすのでルーメン(lm)や光の照度※ルクス(Lux)を重視しますが、自動車の場合は、前方向を照射するのでルーメン値が高ければ高いほど明るいわけではないのです。

※ルクス(Lux)とは、照射範囲を表す「照度」ことです。光源から遠くなるにつれて光が広がり数値は小さくなります。

ヘッドライトのロービームは、反射板やレンズを使い前方を走る車や対向車の視界を妨げないように工夫してあります。反射板の構造や精度が悪いと、ルーメン値が高くても暗かったり、対向車が眩しいライト光になってしまいます。

精度は数値では表現できませんので、口コミや評判が良い物を選びましょう。

光度はカンデラ(cd)

車検のヘッドライト測定車検場のヘッドライト測定の様子。車両はフォレスターヘッドライトはHID

カンデラ(cd)は光の強さを示す「光度」の単位です。

点状の光源から特定の方向へ放射される光の明るさであり、車検の際2灯式では1万5千カンデラ以上、4灯式では1万2千カンデラ以上(上限は22万5千カンデラ)なければ車検には合格しません。

カンデラ値は車体に取り付けた状態ではかるので、車両により値が変わります。またバルブ単体の性能ではないのでパッケージ表記は有りませんが、最重要視するのはカンデラ値になります。

つまり、どんなにライト自体が明るくてもカンデラ値が、基準以下であればヘッドライトとして認められないのです。

もし、カンデラ値が気になるようなら、陸運支局の周りにあるテスター屋さんで測定することも出来ます。

「光軸調整」のみでと言えば500円~1000円位で、ライトバルブの位置調整と測定を行います。

バルブやバーナーを交換したら「変な方向を照らす」「対向車からパッシングされる」場合は光軸が狂った可能性があります。

光軸が狂うと、カンデラ値も測定範囲外になるので注意が必要です。

ヘッドライトの特徴

クルマのヘッドライトには、LED・ハロゲン・HIDの3種類に分けられます。純正比較ですが表のようになります。

LED HID ハロゲン
価格 ×
寿命 ×
明るさ

それぞれの特徴を個別に解説します。

LEDヘッドライト

車用LEDヘッドライトは、ハロゲンランプやHIDに比べ、約10000時間の長寿命、消費電力は20W~30W、点灯速度がすばやく即最大光度になります。

明るさも2000lm(ルーメン)~8000lm位まであり、HIDを超えるものもあります。

LEDヘッドライトの最先端を行くAudi社のMatrix Lightは、LEDメリットを最大限に生かし、カメラと連動して照射範囲を可変しながら照射しています。

動画を見ると分かりますがオートハイビームで走行中、対向車や前方の車両を感知した場合、車両を照射せず走行したり、ハンドルの角度によって照射位置を可変するのはLEDだからこそできます。

電球タイプのハロゲン、HIDではON・OFFの応答速度が遅く上、電球1個が大きいためヘッドライト内に多数収まりません。また光が拡散する性質のため、ハロゲン球やHIDには部分照射は出来ないのです。

純正LEDヘッドライトユニットは車種専用設計で汎用性がないため、30万円~100万円以になる高価な部品ですので、最新モデルの自動車のオプション設定や高級車にはLEDヘッドライトが普及しているのです。

LEDを照射するだけのハロゲン球交換タイプなら¥5000位~入手可能です。こちらに社外LEDバルブに変更した動画があるので参考にしてみてください。

ハロゲンランプ

ハロゲンヘッドライト

ハロゲン球は構造がシンプルで白熱電球と同じ構造で、電球内部のフィラメントが発光する仕組みです。

白熱球との違いは、不活性ガスの他にハロゲンガスが封入する事で、白熱球よりフィラメントの温度を高める事が出来るため、白熱球より明るく発光します。

色合いは暖色系、色温度は4500ケルビン(K)位です。電球のガラスに着色し、色合いを変え黄色3000Kや白色に近い5000~6000Kに変更した商品もあります。明るさは1000~1500lm(ルーメン)程度になります。

ハロゲンランプLncBoc H4ハロゲンヘッドライトヘッドランプ60W / 55W 自動車交換車のオート4300Kのための暖かい白2個セット

消費電力が55/60Wで高め、フィラメントが焼き切れてしまうので寿命も400~600時間位で短く、発熱量が多のが難点ですが生産コストが安く1個500円位から購入できます。

安価で電球交換も非常に簡単な事もあり、現在でもヘッドライトの主流です。

雪国では大活躍ハロゲンライト

LEDやHIDに比べ暗いハロゲンライトは暗いのが欠点ですが、雪が降っている悪天候ではハロゲンライトの方が見やすいです。

ハロゲンライトは発熱が多いため、ヘッドライトに積もった雪を溶かすことができます。

LEDやHIDは、発熱量が少ないため雪が積もってしまいます。代わりにヘッドライトウォッシャーが付いてる車種では、ヘッドライトにウォッシャー液をかけて雪を流すタイプもあります。

HIDヘッドライト

HIDヘッドライト

HIDとはHigh Intensity Dischargeの略で、高圧放電を意味します。

バルブ内にはキセノンガスが封入されており、蛍光灯と同じように電極間の放電で発光するため、フィラメントは存在しません。

メーカーによって呼び名が・HID・キセノンライト・ディスチャージライトなど色々ありますが、すべて同じです。

HIDはAC(交流)、20000V(ボルト)で動作するので、自動車のDC(直流)12Vままでは動作しません。バラスト(安定器)内にあるインバーター(変換器)でACに変換し、イグナイター(点火装置)で一気に20000Vまで昇圧させ、バーナーに放電させ発光します。

消費電力は35Wで色温度は純正バーナーで4300K(ケルビン)程度で、社外バーナーですと黄色の3000K~青色30000辺りまで、自由に選べます。明るさは純正で3000lm(ルーメン)程度で発熱量は少なめです。

消費電力が35Wでハロゲンランプよりも省電力です。バーナー寿命もフィラメントがないため約2000時間と長寿命ですが、部品点数が多く高コストになってしまうのと、点灯してから光が安定するまで数秒かかるのが難点です。

純正HIDコンバージョンキット純正HIDをパワーアップしたり、ハロゲンランプをHIDに変更するキットもあり、社外品が豊富です。

 

社外の純正交換用バーナー単体であれば\5000前後で購入できます。バラスト、イグナイター付きのSETであれば¥10000万円から購入できます。

まとめ

もし、あなたの愛車がLEDヘッドライトであれば、十分明るいので交換の必要はありません。

ヘッドライトの明るさよりレンズの黄ばみ対策に力を入れた方が良いです。

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HIDを採用している車両ならば、バーナーを交換してイメージ変えてみるのも良いかもしれません。

ハロゲンライトの場合、雪国に住んでいない限りHIDかLEDに交換する事をお勧めします。きっと変えてよかったと思うはずです。