交通事故の発生状況を録画し、証拠として警察や保険会社に提出するのがドライブレコーダーです。
最近では『煽り運転』や『高速道路の逆走』などの動画がメディアに取り上げる事により、爆発的に普及しました。
そんなドライブレコーダーですが、多種多様に進化をし続けており、どの機種が自分の車に最適なのか分からない方も多いと思います。
保険募集人の資格を持つ車屋の私が、ドラレコの基礎知識を伝授いたします。
ドライブレコーダーの必要性
保険業務を伴う車屋の仕事をしていると多いのが、交通事故の対応です。車をレッカーするため現場に行くと、事故の当事者同士がよく揉めているのを見かけます。内容を聞いてみると『私の信号は青だった』『ウインカーが出ていない』等の言い争いが多いです。
ドラレコがあれば、決定的な証拠が残るので揉めずに済んだはずです。
交通事故が発生した場合、必ず揉めるの過失割合です。よく「100:0」「50:50」「70:30」といった責任の比率を証拠を基に話し合い保険会社(警察ではない)が、過去の事例や裁判結果、判例タイムズなどを参考に、過失割合を決定します。
判例タイムズとは、法律の実務家(おもに弁護士・裁判官・検察官など)向けに全国の判例情報と実務に役立つ論文を掲載した月1回発行の雑誌です。
民事交通事故訴訟における過失相殺率の認定基準を網羅しているので、過失割合を決める際は、必ず参考にします。
証拠として重要視するのが、車の破損状況や目撃者(第三者)の客観的な証拠です。当事者同士の証言も重要です。しかし事故のショックで気が動転して証言が間違っていたり、自分が悪くならない様に、証言するのが大半です。
ドライブレコーダーや監視カメラの動画や画像は、客観的な動かぬ証拠になるので最重要視されます。またドラレコを装着し常時録画することで、『あおり運転』の抑止にも効果があります。
ドライブレコーダーの用語
今や、家電量販店やホームセンターでも販売しているドラレコですが、見た目やスペックも様々で、画素数、2カメラか360°さらに・駐車監視機能・HDR・LED信号対応・GPS機能・Wi-Fi対応等、多機能に進化しています。
それぞれ説明しますので、購入する際の目安にしましょう。
ドラレコの種類と取付方法
最近よく耳にする『あおり運転』対策には後方録画が重要なので、2カメラか360°をオススメします。またチャイルドシートをセカンドシートに取り付ける場合や、小さなお子様を乗せる方は360°をオススメします。
赤ちゃんの様子や、後部座席の状態を振り返らずドラレコのモニター画像で、確認できるので安全運転に繋がります。タクシーは後部座席がメインなので360°タイプが普及しています。
値段は2カメラタイプで20,000円前後、360°タイプで30,000円前後と高額になります。スタンダードモデルに比べ2倍近い価格で、高い買い物になりますが「安心を買う」と考えれば、安いのかもしれません。
ドラレコの取付の主流は、両面テープでフロントガラスに接着するタイプ多く、次に吸盤固定が多いです。電源もシガーソケット給電が多いので取付自体はとても簡単です。
難しいのは配線を隠したり、シガーソケット以外から給電したり見た目の問題です。取付に自信がなければカー用品や車屋での取付をオススメします。工賃は5,000~10,000円位です。
前後録画の2カメラは配線処理がとっても面倒ですが、『あおり運転』対策の為に後方録画できるタイプを購入しましょう。
画質や画角はとっても重要
ドラレコを取り付けていても、画質が悪くてナンバープレートが読み取れないと、証拠にならない可能性があります。また画角が狭いと死角が増えてしまいます。
画質はフルHD(1920×1080)が標準画質です。紛らわしいのが、〇〇画質や〇〇画素などと色々な表記しているものがあることです。フルHD横1920×縦1080=2,073,600なので200万画素がフルHDになります。
また、画質を上げる技術でHDR(High Dynamic Range)を採用し明るさの幅を調整する機種もあるので、検討する価値もあります。
フレームレートに注意してくだい。フレームレートは一秒間のコマ数になります。単位はFPS(Frames Per Second)で、50fpsの場合は1秒間に50コマ動く意味になります。
よくドラレコ広告の謳い文句に、LED信号対応と記載してるのを見かけます。LED信号のフレームレートは東日本50Hz、100fps、西日本60Hz、120fpsになります。
日本製のドラレコは、ほぼ対応しているのですがフレームレートが25fpsと30fpsの場合は、LED信号の点滅とドラレコのシャッターが同期してしまい信号が点滅してみえたり、完全に見えなくなってしまう場合があります。
大体の商品が27、27.5、29fps等に設定して100、120fpsに同期しない様フレームレートをズラしていますが、古い物や海外製に30fps設定を見かけます。
ドラレコをスペックには、設定フレームレートやLED信号対応の有無が記載しているので、必ず確認しましょう。
25fpsと30fpsを避ければ問題ないです。
画角は、広ければ広いほど良いのですが値段が高額になります。バランスをとって最低ライン水平画角108°以上を選びましょう。縦方向の垂直画角、斜め方向対角画角は大きく差が出ないので横方向の水平画角を重要視して下さい。
画質はフルHD以上で水平画角108°以上の商品であれば、問題ないです。
便利な機能
高性能なドラレコになると様々な機能が追加されます。代表的な機能は駐車監視機能です。その名の通り、エンジンを切って駐車中も録画し続けて、当て逃げにも対策をとることが出来ます。
ただし、バッテリーへの負荷が大きいので、買い物や出先での一時的駐車のみの使用に制限した方がよいです。
またGPS機能付きは、場所の位置情報はもちろん、車の車速まで記録することができます。Wi-Fi機能付きであれば、SDカードを取り外さずに動画をスマホやパソコンに転送したり、運転中のサブモニターとして表示する事も可能です。
記録媒体について、ドライブレコーダーの性能や画質が上がれば上がるほど記憶するSDカードにも要求するスペックが上がります。
SDカードは容量が重要ですが、スピードクラスもよく確認しましょう。スピードクラスが低いと、動画がカクカクしたり、コマ落ちする場合があります。Class10であれば、ほぼ問題ないですが要確認です。
色々と便利な機能ですが、ドラレコ本体の値段も2倍、3倍と一気に高くなります。通常の1カメラタイプは、10,000円位で購入できますが、多機能な商品は30,000~40,000円位します。
ただ、金額の差額以上の費用相対効果は見込めますので、多機能モデルをお勧めします。
ドラレコの進化は次のステップへ
現在、日本国内の保険会社では、ドライブレコーダーと保険特約を一体化した、ドラレコ型任意保険サービスの提供を行っています。
具体的には、事故を起こした際、ドラレコが自動的に、GPSとWi-Fi機能を駆使して、保険会社のコールセンターに位置情報と動画を送信します。
オペレーターが受信したデータをもとに、安否確認や救急車、レッカーの要請、今後の事故対応のアドバイス等のサポートを受けることが出来ます。
また・車間距離アラート・車線はみ出し警告・録画データを利用したドライビング採点機能などのドライブサポート、事故相手との初動対応をガードマンが対応するサービスも始まっています。
オススメのドラレコを紹介します。
多機能なドライブレコーダーの中でも、私がオススメする商品をピックアップしてみました。
コムテックHDR360GW
360°カメラ+リアカメラで全方向録画で死角なし。駐車中も360°録画可能な、コムテックのフラッグシップモデル。
ユピテルSN-DT53c
夜の録画に強く、『発進遅れ警告』『車線逸脱警告』『前方衝突警告』等のセンシング機能を追加、事故を未然に防ぐドライブサポート付き。
ケンウッドDRV-W650
Wi-Fi機能搭載、広視野角レンズ採用の水平画角117°、フレームレート55fps採用の高画質モデルyoutube等のSNS動画投稿に特化したモデル。
最後に
ドラレコ選びのポイントを説明しましたが、いかがでしたか。最近のドラレコは、画質や動作スペックの向上により、ドライブ動画の撮影、駐車中の防犯カメラ等、交通事故の証拠保存以外に利用することも増えました。
ただ、共通して言えるのは記録が残らなければ、何の意味もないという事です。
いざ動画確認して使い物にならなかった。なんて失敗をしない様に、どこに重点をおくのか見極めて、自分に合ったドライブレコーダーを選びましょう。