クルマに乗っていると必要になるのが、給油です。昔はフルサービスのガソリンスタンドのみでしたので、何も難しい事はありませんでした。
しかし、近年セルフスタンドの増加により自分で給油する方が増えています。そのせいか、給油に関してのトラブルが増加しています。
自動車教習所では、教えてくれないガソリンの意味やセルフサービスのメリット・デメリットをガソリンスタンド勤務経験者の車屋の私が解説しますので、ぜひ最後まで御覧ください。
少しでもガソリン代をお得にするには
ガソリンスタンドを運営するにいたって固定客はとっても大事な要素になります。ガソリン価格が安いのも重要ですが、他にはないサービスを求める方も多いです。
各社ポイントを付与したり、割引チケットの配布したり努力してますが、一番メリットはガソリン系クレジットカードになります。
私のオススメカードはエネオスカードです。
エネオスカードがオススメな理由は店舗数がダントツだからです。どんなにサービスが良くても店舗が限られていれば、意味がありません。
- エネオス 全国約14,000店舗
- 出光興産 全国約3,800店舗
- 昭和シェル 全国約3,400店舗
- コスモ石油 全国約3,200店舗
出光、昭和シェル、コスモ石油等の大手他社の合計数よりエネオスの店舗の方が多いのです。他にも使う頻度に合わせてカードのタイプを3種類から選べます。
毎月の利用額に応じて最大7円安くなるENEOSカード C
ENEOSや一般加盟店にて使用すると、1ヵ月間のカード利用金額に応じてガソリンと軽油が合算で毎月150リットルまでなら1リットル最大7円引き分のキャッシュバックなります。
灯油はいつでも1リットル1円引きになります。QUICPay・ETC・家族カードの利用分も含まれます。
年会費 | 1,375円(初年度無料) | 追加カード | ETCカード、家族カード |
---|---|---|---|
ポイント還元率 | – | 付帯保険 | – |
貯まるポイント | – | 電子マネー機能 | – |
交換可能マイル | – | スマホ決済 | Google Pay、楽天ペイ |
初年度は年会費無料ですが2年目以降は、1,375円の年会費がかかります。
カードの利用額が月々2万円以上、月に58ℓ以上給油する方ならば、2円×58ℓ×12ヶ月=1,392円で値引き金額が年会費を上回ります。
ECTカード、家族カードの利用分も値引き単価をあげられるので、買い物でカードを使う方にオススメです。
ポイントの還元率が最大3%のENEOSカード P
通常は1,000円につき6ポイント付与されますが、ENEOSで利用すると1,000円につき30ポイント付与されるため最大3%のポイントが還元されます。
また、貯まったポイントは1,000ポイント1,000円換算でENEOSにてキャッシュバックや商品に交換が可能です。
年会費 | 1,375円(初年度無料) | 追加カード | ETCカード、家族カード |
---|---|---|---|
ポイント還元率 | 0.60%~3.00% | 付帯保険 | – |
貯まるポイント | ENEOSカードポイント | 電子マネー機能 | – |
交換可能マイル | ANAマイル、JALマイル | スマホ決済 | Google Pay、楽天ペイ |
初年度は年会費無料ですが2年目以降は、1,375円の年会費がかかります。
ENEOSでの利用1,000円ごとに30ポイントなので、還元率3%になります。月に4,000円分の給油で、120P×12ヶ月=1,440Pでポイント数が年会費を上回ります。
マイルや他社ポイントやギフトカードと交換可能ですがキャッシュバックが一番交換レート(1,000ポイント1,000円)が良いです。
カード利用額の内訳でガソリン給油が多い人にオススメです。
ガソリン軽油がいつでも2円引きになるENEOSカード S
いつでもガソリンと軽油が1リットル2円引き、灯油は1リットル1円引きになるほか、カード利用が年に1回あれば通常発生する年会費が無料となります。
加えて、カーメンテナンス商品や通常のショッピング時に発生する有効期間2年間のカードポイントは、1,000ポイント1,000円換算でENEOSにてキャッシュバックできます。
年会費 | 1,375円(初年度無料) 条件付無料 | 追加カード | ETCカード、家族カード |
---|---|---|---|
ポイント還元率 | 0.60%~2.00% | 付帯保険 | – |
貯まるポイント | ENEOSカードポイント | 電子マネー機能 | – |
交換可能マイル | ANAマイル、JALマイル | スマホ決済 | Google Pay、楽天ペイ |
2年目以降、年1回のカード利用で年会費無料になるので、年会費が気にならないです。
あまりガソリンを入れない人やカードで買い物しなくても、現金で給油するよりお得になりますし、ポイントもたまります。
以下に説明する共有サービスが付随するので、お守り代わりに持っていても損はないです。
カード選びに迷ったら、まずは「ENEOSカード S」をオススメします。
共通サービス
エネオスカードの種類に関係なく付随するサービスがあります。
EneKey
キーホルダータイプのEnKeyをあてるだけで決済が可能になります。
使ってみると分かるのですが、財布を取り出さずに給油が出来るのは、バイク乗りとってはとてもありがたい事です。
特に大型バイクなどは、装備が重装備になるので給油がとても大変です。さらに燃費が悪いので頻繁に給油する必要があります。
EnKeyがあればグローブを付けたままでも給油が可能です。バイク乗りには特にオススメします。また、エネオスカード以外のクレジットカードでも登録が可能です。
24時間365日全国ロードサービスを標準装備!
ENEOSカードなら、もしもの時にお電話1本でかけつける安心のロードサービスが標準装備!365日、24時間受付の安心対応で、全国9,600ヵ所(2015年9月末時点)の出動拠点とネットワークで、30分~1時間で到着。
ENEOSカード専用の「ENEOSカードアプリ」を使えば、緊急時の連絡もカンタン! GPS機能で所在地もフォロー。
レンタカーの優待得点
全国約800ヵ所のオリックスのレンタカーネットワーク〈オリックスレンタカー、レンタカージャパレン、エックスレンタカー〉で10%割引のご優待。
なお、優待を受けるためには事前予約が必要となります。
「カーコンビニ倶楽部」で愛車のキズ・ヘコミの修理費用の割引も
「カーコンビニ倶楽部」ではENEOSカード会員様限定のおトクな割引、愛車のキズ・ヘコミの修理費用が5%OFFなど得点が盛りだくさん。
ガソリン代値引き以外のメリットも多いのがエネオスカードの特徴です。ロードサービスは大変便利なのでエネオス以外で給油する方もお守り代わりに持っていても損はないです。
ガソリンに価格差がある理由
ガソリンは原油を350℃まで過熱し、蒸発させたものを冷やし、蒸留抽出を行います。
抽出温度によってそれぞれガス分・LPガス・ナフサ(ガソリン)・灯油・軽油・(残油)重油などに分けられ、自動車で使用するのは、ナフサ(直留ガソリン)と軽油のみになります。
しかしナフサの状態ではオクタン価(RON)が低く自動車を走らせる事が出来ません。ナフサから硫黄分を除去した後、さらに質を改善、調合し精製した燃料が自動車用のガソリンとなります。
日本では・ハイオク・レギュラー・軽油の3種類に分けられます。
値段 | オクタン価 | セタン価 | 色 | 沸点 | |
ハイオク | 高い | 96以上 | なし | オレンジ色 | 30℃~80℃ |
レギュラー | 普通 | 89以上 | なし | オレンジ色 | 30℃~80℃ |
軽油 | 安い | なし | 45~50以上 | 淡黄色 | 240℃~350℃ |
ハイオクとレギュラーの違い=オクタン価の違い
「オクタン価」とは、燃えにくさや耐ノッキング性能を表す数値です。数値が高いほど燃えにいのでノッキングしにくいガソリンになります。
ノッキングとは異常燃焼(デトネーション)が原因で、正常なタイミングで燃焼する前に自己着火してしまいます。
カンカン、キンキンといった打撃系の金属音が発生したり、エンジンが振動をおこしエンジンにダメージを与えてしまいます。
ノッキング対策の1つでオクタン価を上げ、燃えにくくすることで自己着火を防ぐ方法があります。
ハイオクガソリン
ハイオクは「ハイオクタンガソリン」の略で、オクタン価96以上のガソリンはハイオクとよびます。
レギュラーとハイオクの違いは引火点の違いです。ハイオクの方がレギュラーガソリンよりオクタン価が高く燃えにくいガソリンです。
ガソリンは燃えにくい方が、混合気をより多く圧縮できるので、高排気量車やスポーツカーなどの高性能車、エンジンを改造したチューニング車両にはハイオクが必要になります。
また、欧州車の殆どのエンジンの要求オクタン価が95以上のため、日本ではハイオク指定になります。
レギュラーガソリン
レギュラーガソリンは、ハイオクに比べオクタン価が低く、燃えやすい特徴があります。オクタン価89以上をレギュラーガソリンとよびます。
ハイオクに比べてノッキングしやすいのですが、メーカー設計がレギュラーガソリンで想定して設計している車両であれば、わざわざハイオクを使う必要がなくレギュラーで問題ないです。
ハイオクの洗浄効果を期待している人はレギュラー・ハイオクの差額分を貯金して、PEA(ポリエーテルアミン)系の燃料洗浄剤を入れた方が洗浄効果は期待できます。
ただし、エンジンの燃焼室にカーボンが付着し、圧縮比が高くなってしまった場合や古くなりラジエターの冷却性能が低下した車両は、アクセルの踏み始め、全開時にノッキングを起こしやすいので、ハイオクを入れる事で改善できる場合があります。
ガソリンスタンドの売り上げを見ると、殆どの車両がレギュラーガソリン車になります。
ガソリン色って知ってます?
日本のガソリンには間違い防止のために、JIS規格により着色して販売しています。
(JIS K 2202:2012)
- ガソリン(レギュラー、ハイオク) オレンジ色
- 軽油 淡黄色
- 灯油 透明色
- Avgas(Aviation Gasoline) アブガス(航空機燃料) 青色
色が付いていることで暖房器具にガソリンを入れないようにしてます。ただし時間が経った、古い灯油は変質し淡黄色になるので注意が必要です。
また、国によって青や緑などガソリンの色は様々です。
軽油
軽油はディーゼルエンジン専用の燃料になります。軽油は高温高圧の場合によく燃焼する特徴があり、引火温度50℃程度とガソリン(-40℃程度)に比べて高く、高温にならないと燃焼しません。
そのため、冬場の始動性は悪く場所によっては、軽油が凝固し燃料フィルターや燃料パイプが詰まるため・特1号・1号・2号・3号・特3号までの引火点や流動点の異なる軽油が存在します。
北海道などの寒冷地では夏は・特1号・1号、冬になると・3号・特3号を使い分けます。なので軽油は現地調達が必須です。
軽油は自己着火のしやすさをセタン価で表します。セタン価60はオクタン価0に、セタン価0はオクタン価100に相当します。
「業界では常識!?スキー場にディーゼル車で行く人
は、「現地」で給油しよう」
これは、私の経験談なのですが関東から東北のスキー場に行った時の話です。スキーやスノボにディーゼル車で行く人は軽油凍結に注意してください。
ハイラックスサーフ(ディーゼル)で夜中に現地入りし朝出発しようとすると、なんとエンジンが掛らないのです!!
スキー場でよくあるトラブルですが、原因を探ると燃料を送るデリバリーパイプ内の軽油が冷えすぎて固まりドロドロになってしまのです。
燃料が固まっているため、燃料が噴射できないためエンジンが掛りませんでした。
燃料フィルターやパイプに熱湯をかけて温めたので何とかエンジンが掛りましたが、極寒エリアの場合お湯ですら直ぐ凍るのでオススメできません。気温の上昇を待つしかないようです。
現地の軽油を半分位入れとけば問題ないみたいですが、最悪凍結の事態を考えて、日中日当たりが良い駐車場に止めといた方が良いです。
ディーゼルエンジンの方は注意が必要です。冬場は現地の軽油を少しでも混ぜた方がよいです。もしくはノンフリーズ/ディーゼル燃料凍結防止剤を事前に添加する対策もあります。
軽油の圧縮比と有害物質
ガソリンと空気を混ぜた混合気にプラグで着火させるガソリンエンジンに対して、ディーゼルエンジンは空気を圧縮し高温になった状態に、軽油を噴射し着火させます。そのため、点火プラグが存在しません。(始動時のみグロープラグを使用します)
軽油は、高温高圧で燃焼が必要なため、エンジンの圧縮比が17〜18程度と高いので熱効率が高く燃費が良くなります。ちなみに、ガソリンエンジンは圧縮比10〜13程度、ターボ車で8〜9程度になります。
逆に、圧縮比が低いと圧縮温度が下がり、エンジンが始動性が悪化したり、半失火が発生しまいます。しかし、圧縮比が高いとNOx(窒素酸化物)という有害ガスが増えてしまうのが難点です。
マツダの「SKYACTIV-D」は独自技術により低圧縮ディーゼルエンジンを完成させましたが、短時間の走行を繰り返すとDPF(ディーゼルパティキュレートフィルター)に煤(スス)が詰まり警告灯が付いたり、エンジンが止まる問題があります。
NOx(窒素酸化物)にはAdBlue
近年のディーゼルエンジンには環境保護のためAdBlueが利用されています。マツダの「SKYACTIV-D」を除く
AdBlue(アドブルー)とは、高品位尿素水のことです。最近のディーゼルエンジンには尿素SCRシステムとよばれる浄化装置にAdBlue吹き付けます。
NOxにAdBlueを合わせると、アンモニア(NH3)が発生します。アンモニアが化学変化をおこし、NOxを窒素と水に分解するので排ガスが浄化されるのです。
ただし、AdBlueは液体であり、燃料と同じように消費するので定期的な補充(1リッター1000km位)が必要です。
ちなみに、AdBlueが空になるとエンジンは再始動できません。AdBlueはガソリンスタンドで1リットル120円から140円程度です。
ガソリンスタンド(Gas Station)
ガソリンスタンドとは自動車やオートバイの燃料用ガソリンやオイルを販売する給油所のことで・GS・ガソリンスタンド・サービス ステーション(SS)などとよばれます。
ガソリンスタンドには・フルサービス・セルフ・スプリットがあります。それぞれにメリット・デメリットがあるので解説します。
フルサービス
その名の通りで給油から、窓拭、ゴミ捨てをスタッフの方がやってくれます。要望があればエンジンルームの点検、空気圧のチェックまで行ってもらえます。
整備士が常駐している場合が多く、車検や整備(オイル、タイヤ、バッテリー交換)なども行う店舗もあります。そのため、車検の営業や洗車を進められたりなど、営業されることがあります。
また、整備士や危険物取扱者が多く在中する必要があるので、人件費が多くかかります。そのため車検や洗車等の油外(ゆがい)で利益を出す必要があるのと、ガソリンの値段が高くなる傾向にあります。
普段、整備やメンテナンスを行わない人、車から出るのが面倒くさい人はフルサービスをオススメします。
あなたの車の給油口はどっち?
ガソリンスタンドでの間違いの一番は、給油口の間違いです。普段乗りなれている場合は問題ないのですが、レンタカーや台車に乗り換えた時に分からなくなる人が多いです。
クルマの給油口は左右どちらか(ポルシェの一部は前方、古いキャデラックはリアナンバー裏)についていますが、ガソリンメーター内にある給油機マークの横に矢印が付いてる場合は、給油口の向きを示してます。
ホンダのバモスは左右両方に給油口のフタがある(助席側はオイルの注入口)ので、注意が必要です。
また、給油口の解除レバーが分かりにくい車両もあるので、事前に調べておくとガソリンスタンドで焦る必要もなくなります。
セルフサービス
セルフサービスはすべての作業を自分で操作し給油します。空気入れは設置してありますが、空気圧のチェックや補充作業も自分で行う必要があります。
給油機と洗車機のみの店舗が多く、整備施設がないため整備士がいません。パンク修理、バッテリ上がりに対応できないデメリットがあります。
しかし給油に特化し、必要最低人数で運営するので人件費が安く済むため、ガソリンの値段が安くなる傾向と24時間営業の店舗が多くあります。
普段から自分で整備する人、少しでもガソリンを安く入れたい人にはセルフサービスがオススメです。
また、フルサービスの店舗が改装する際に給油機のみをセルフ化し、給油以外の作業を継続する店舗が急増しています。
給油ノズルの色は共通
給油ノズルの色は間違い防止のため、法令で決められています。
- ハイオク 黄色
- レギュラー 赤
- 軽油 緑
- 灯油 青
軽自動車に緑色のノズル(軽油)はあり得ないので、間違えない様注意しましょう。
スプリッド
スプリッドはフルサービスと、セルフサービス両方に対応している店舗のことです。セルフレーンとフルサービスレーンを併設しています。
同じ店舗内でもレーンで価格さがあり、ユーザーがレーンを選択して給油を行います。大体2円位の差があります。
フルサービスを提供しながら、コストを抑えられるのメリットがあります。ガソリン価格もセルフサービス店と競合している店舗が多いです。
最後に
常に進化を続けるガソリンスタンド
1998年(平成10年)の消防法改正で規制緩和されセルフスタンドが登場し、今ではコンビニやドトールコーヒーも併設されるようになりました。
また、消防法による厳しい建築基準をクリアするため、耐震性・耐火性に優れた構造となっており、災害発生時の避難場所に指定されてます。
今後ガソリンスタンド業界は、セルフ化の流れが一気に加速すると言われてます。フルサービスしか使ったことがない方もセルフ給油にチャレンジしてみてください。