クルマやバイクの運転に必ず必要になるのが、運転免許証です。最近は免許区分も細かくなり複雑になりました。
知らずに運転していると、免許条件違反や無免許運転になるので注意が必要です。
そんな、運転免許の仕組みや取得の仕方を、車屋の私が解説していきますので是非最後までご覧ください。
運転免許の種類
運転免許には第一種と第二種に別れます。
基本的には一種免許で十分ですが、お客様を乗せて運賃を頂く場合は、車両区分に合わせた二種免許が必要になります。
普通車のタクシーであれば普通二種免許、大型バス等は、大型二種免許になります。また、輸送業務になるので運送会社が使う営業ナンバー(緑ナンバー)になります。
ナンバープレートの色について
バスや貨物トラックなどは、ナンバープレートが緑色で事業用登録の営業ナンバーになるのですが、白色のナンバーを付けたトラックを見かける事が多いです。
白のナンバーは自家用になります。
なぜ荷物を運ぶトラックに自家用があるのかというと、荷物を運んで利益を得ない場合は、国土交通省に貨物運送事業の開設許可が不要の為、自家用でも問題ありません。
例えば、ヤマザキパンは自社でトラックを所有してますね。パンを売るのがメインであり、配達する事で利益を出しているわけではないので、営業ナンバーの必要がないため、自家用ナンバーが付いてます。
トラック業界では、荷主が直接自社の配送車両を持つことを「自社便」と呼び 営業用トラックと違い運賃が発生しないことから白ナンバーのものが多いです。
第一種運転免許の種類
はじめて免許を取得する場合は、一種運転免許からの取得になります。
- 大型自動車免許
- 中型自動車免許
- 準中型自動車免許
- 普通自動車免許
- 大型特殊自動車免許
- 大型自動二輪車免許
- 普通自動二輪車免許
- 小型特殊自動車免許
- 原動機付自転車免許
- 牽(けん)引免許
小型特殊免許と牽(けん)引免許を除く、それぞれの免許には『AT限定』と『限定なし』があり、年齢条件と適正検査(視力、色彩能力、聴力、運動能力)をクリアすれば取得が可能です。
大型第一種免許、中型第一種免許(限定なし)、準中型第一種免許(限定なし)、けん引免許、第二種免許を取得の場合は、適正検査に「深視力検査」が追加されます。
排気量125ccまでのバイク(原付二種)が乗車できる、通称「小型二輪」は免許区分上、普通二輪の限定免許扱いで「小型限定普通二輪免許」になります。
昔は存在しなかった準中型、中型免許
貨物自動車の事故防止の為、道路交通法の一部改正され 平成19年6月2日より「中型免許」「中型第2種免許」が新設され、それまで普通免許で運転できた、俗に言う4tトラックを運転するには中型免許の取得が必要になりました。
改定前に普通免許を取得した方は、普通免許の「免許の条件等」に「中型車は8tに限る」(車両総重量)と表記され、施行後も従前と同じ範囲の自動車を運転することができます。
さらに、平成29年3月12日から準中型免許制度が施行され、俗に言う2tトラックを運転するには準中型免許の取得が必要になりました。
こちらも改定前に、普通免許を取得した方は条件欄に(準中型で運転できる準中型車は準中型車(5t)限定に限る)と記載され救済措置がとられています。
免許の区分 | 普通自動車 | 準中型自動車 | 中型自動車 | 大型自動車 |
受験資格 | 18歳以上 | 18歳以上 | 20歳以上 普通免許等保有2年以上 |
21歳以上 普通免許等保有3年以上 |
車両総重量 | 3.5トン未満 | 3.5トン以上 7.5トン未満 |
7.5トン以上11トン未満 | 11トン以上 |
最大積載量 | 2トン未満 | 2トン以上 4.5トン未満 |
4.5トン以上6.5トン未満 | 6.5トン以上 |
---|---|---|---|---|
乗車定員 | 10人以下 | 10人以下 | 11人以上29人以下 | 30人以上 |
第二種運転免許の種類
バスやタクシーに乗り、乗客を運ぶ業務に就く場合は、それぞれの区分に合った二種免許が必要になります。
また、二人一組で業務を行う運転代行のお客さんと一緒に運転するドライバーは二種免許が必要ですが、社用車を運転する相方は一種免許で問題ありません。
- 大型自動車第二種免許
- 中型自動車第二種免許
- 普通自動車第二種免許
- 大型特殊自動車第二種免許
- 牽(けん)引第二種免許
日本では難しい配車型ライドシェア
海外に行くとタクシーを使わずUber(ウーバー)やLyft(リフト)等の配車サービスを使う方が多いです。
タクシーより料金が安く、アプリ操作で行先と支払いも済ませられるので、とっても便利なサービスなのですが、日本では違反行為になってしまいます。
ドライバーは自家用車でタクシー業務を行うのですが、日本では「白タク」(緑色の営業ナンバーではなく自家用の白ナンバーでタクシー営業する行為)とよばれています。
白タク行為は「道路運送法第4条」に違反し「3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金」になります。(金銭を受け取らなければ、違法行為にはならないです)
タクシー行為を行うには、二種免許と営業ナンバーが必要なので日本でUber(ウーバー)の普及は難しいようです。
運転免許の取得方法
ほとんどの方が、教習所に通い免許を取得されると思いますが、教習所には公安委員会の指定を受けている公認教習所と非公認教習所があり、さらに合宿免許があります。
また、教習所には通わず試験にチャレンジする一発試験について解説していきます。
公認(指定)自動車教習所
日本にある教習所の殆どが公認(指定)教習所です。教習所を卒業することで、運転免許試験場での技能(運転)試験が免除になります。
学科、実技共に一から学べますが、費用は高額になるのと免許取得まで時間がかかります。普通免許で30万円~40万円位です。
第一段階で教習時間が2時限まで、第二段階で3時限までと決まっています。学科免除でなければ1ヶ月~3ヶ月位かかります。
また、入校して9ヶ月以内に卒業検定を合格しなければなりません。(大特・けん引の場合は3ヶ月以内)
合宿免許
合宿免許はその名の通りで、地方の教習所にある宿舎に宿泊しながら学科、技能講習を行います。合宿免許を行っている教習所にも公認(指定)教習所なので、運転免許試験場での技能(運転)試験が免除になります。
スケジュールが固定で、利用者の回転率も速く、場所が地方で地価が安いためコストを抑えられるため、合宿免許の費用は17万~25万円位です。
スケジュールが固定のため、キャンセル待ち等がありません。問題なければ、2週間位で卒業出来るのがメリットです。
デメリットは、約2週間の休みが必要になる事と、最安プランの場合、相部屋になる可能性があります。
非公認教習所
非公認教習所は主に免許失効や取り消しになり、再取得にチャレンジする方がよく利用する教習所です。もちろん新規取得の方でも問題ありません。
公認同様、学科、実技共に学べますが、教習所を卒業しても、運転免許試験場での技能(運転)試験は免除になりません。試験は全て運転免許試験場で受験します。
費用は普通免許で15万円~30万円位です。また、教習時間の制限がないため、一日4~8時間の教習も可能です。
費用は安く時間の制限がないのがメリットですが実技免除にならないのがデメリットです。
一発試験
一発試験は公認の教習所に入校せず、いきなり運転免許試験場で学科と実技試験を受ける方法です。
教習所には入校しないため、独学で勉強しなくてはなりません。なので有効期限の失効や、免許の取り消し等、運転経験がある方が殆んどです。
費用は、「試験手数料」「車の使用料」「免許証交付手数料」のみになるので、5000円前後です。
費用は安いのですが、1度目で合格することは、まずないと言われるくらい難易度が高いです。
もし、免許を取得するなら合宿免許がオススメ!
もし、まとまった休みが取れるのならば、合宿免許がオススメです。
費用が公認(指定)教習所より5万円~10万円安く、教習スケジュールも決まっているため、予約が埋まって教習が受けられない事はありません。
合宿免許を行っている教習所は地方に多いので、ちょっとした旅行気分を味わえます。また、免許取得の目的を持つ同士が集まるため、新たな出会いに繋がりやすいのも特徴です。
気が合った人同士で勉強すれば勉強が捗りますし、合宿免許にはメリットが多いです。
免許更新
免許を取得したら必ず行うのが、免許更新です。更新を行わないと、せっかく取得した免許も更新年の1ヶ月をすぎると失効してしまいますので注意が必要です。
有効期限から6ヶ月以内であれば、運転免許センターで適性検査を受け、問題がなければ再発行することができます。6ヶ月を過ぎてしまうと再発行できませんので注意が必要です。
免許証の色について
運転免許には、グリーン・ブルー・ゴールドの3種類が存在します。免許取得後の年数や更新回数、違反行為の有無で色分けされます。
また、更新期間も変わりますので注意が必要です。
グリーン免許
初めての免許や失効後、再取得の方は必ずグリーンの免許証になります。
免許取得後1年未満は初心者マークの表示が義務づけされており、表示がないと「初心者標識表示義務違反」で減点1点、4000円の反則金になります。
また、免許取得後1年未満の時に・違反点数が累計で3点を超える・1回で4点以上の違反・3点の違反をしたあとに1点以上の違反をした場合は「初心運転者講習」を受講しなければなりません。
免許証の有効期限は3年です。
ブルー免許
ブルー免許は、・初回更新者・一般運転者・違反運転者が該当します。
初回運転者講習
免許を初めて取得して3年目の更新は、「初回運転者講習」になります。免許証の色はグリーンからブルーに変わります。有効期限は3年です。
一般運転者講習
ブルー免許取得後2回目の更新40日前までの違反が、過去5年間で3点以下の軽微な違反が1回のみの場合「一般運転者講習」(準優良講習)です。
有効期限は5年になりますが、更新忘れで再取得した場合、有効期限が3年になってしまいます。更新後も前回と同じブルーの免許になります。
違反運転者講習
違反運転者とは過去5年間で2回以上の軽微な違反、4点以上の違反、人身事故等を起こした場合、「違反者講習」になります。
免許証の有効期限が3年となり、更新後もブルーの免許になります。
ゴールド免許
ゴールド免許は、5年以上免許を保有しており、期間中、事故なし違反なしの場合、「優良運転者」となり、ゴールド免許が交付されます。
免許証の色が金色になり、条件欄に「優良」と追記され、免許証の有効期限は5年になります。
ゴールド免許になると次回更新の時間の短縮、講習手数料が安くなる、自動車保険の割引等、様々な特典を受けられます。
免許更新と言えば交通安全協会
講習の最後に半ば強制的に加入を求められる交通安全協会ですが、加入の義務ではないので、断る方も多いです。
断る方の大半の理由は、1500円〜2500円の会費だと思うのですが、意外とメリットが多いので、各都道府県のホームページで調べてみてから、判断した方が良いです。
実際に私は、過去にバイクで事故をおこし交通安全協会の「交通事故見舞金等制度」を利用し5万円の入院見舞金を受け取りました。
(一財)茨城県交通安全協会のHP
今までは、反射材に1500円も取りやがってと思っていましたが、掛け捨ての保険+その他特典付きに1500円〜2500円で加入すると考えれば安いのかもしれません。
最後に
時代背景と共に変わる免許制度、良く調べないと気が付かないまま、区分違反や無免許運転の交通違反になってしまいます。
免許更新に関しても年号は令和になっても、免許の有効期限が平成の表記のままなので、更新時期に気がつかず、うっかり失効してしまったという話もよく聞きます。
安全運転運転を心がけるためにも、改めて自分の免許を見直してみるのも、良いのかもしれません。