クルマの鍵を車内に置いたまま、鍵を挿したままロックしてしまった経験ありませんか?
車内にキーを残したまま、外からドアをロックしてキーを閉じ込めてしまう事を、「インロック」とよびます。
スマートキーやリモコンキー が普及した現在でも、インロックによる「ロードサービス」の要請は後をたちません。
そんなインロックに出くわしたときに、焦らず冷静に対応できるよう、車屋の私がアドバイスしますので、最後までご覧ください。
なぜインロックがおきるのか?
カギをカバンやポケットに入れておくだけで、ドアロックやエンジンの始動までできるスマートキーですが、落とし穴もあります。
昔は、車内にカギがあるのにドアノブを引きながらドアをロックしてしまい「インロック」が多かったのですが、現在「インロック」の原因は、ほぼスマートキーです。
スマートキーは、常に車体に暗号化された微弱な電波を送信しており、電波を受信中は開錠・施錠、エンジン始動が可能になります。
しかし、スマートキー電池が切れてしまうと電波が飛ばなくなり、たとえ車内にカギがあっても開錠・施錠が可能になってしまします。
スマートキーは電波交信や盗難対策のために、微弱な電波を採用しており、カバンと一緒にトランクの中にしまったり、カバンの中に携帯電話のそばにカギを置いておくと電波が遮断され、効きが悪くなったり、反応しなくなる場合があります。
この状態でドアロックしてしまうと「インロック」になってしまいます。
もし、インロックしてしまったら
インロックしてしまった場合、解決方法は主に3種類あります。
- JAFなどのロードサービスか鍵屋さんをよぶ
- スペアキーでロック解除
- 自分でドアをこじ開ける
インロックすると焦ってしまい冷静な判断が出来なくなります。落ち着いて上記の方法から最適な対処方法を行いましょう。
ロードサービス
JAFや自動車保険のロードサービスで、インロックの解除は24時間対応してもらえます。
JAFは会員なら無料、ロードサービスは保険会社によります。(通常10,000円~20,000円位)しかし鍵穴が隠し穴や特殊だったり、ダメージがあり手に負えない場合は、ロードサービスが鍵屋を呼ぶ場合もあります。
電話で問い合わせる時は、車種や年式を聞かれるので答えられるようにしておくと段取りがスムーズに行えます。
もし、自分の車が外車や特殊な車両であれば、8,000円~50,000円位の有償になりますが最初から鍵屋さんを呼んだ方が早いかもしれません。
鍵による開錠時の注意点
アナログの鍵やスマートキー付属のメカニカルキーで開錠しドアを開けるとセキュリティアラームが鳴る車両があります。
これはクルマが鍵開けによる窃盗だと判断しアラームが発砲(鳴る)する仕組みです。ドアを開けすぐにアクセサリーのポジションにするかエンジンをかけると、直ぐに収まります。
ちなみに、直前の動作がカギで施錠し、開錠もカギであればアラームは鳴りません。逆にリモコン操作ですと、メーカーにもよりますがアラームが鳴ってしまいます。
スペアキー
もし、家にスペアキーがあり用意できる場合は、スペアキーを使うのが一番です。
しかし、遠出してたり、スマートキーと一緒に家の鍵をインロックしてしまったりした場合はどうにもならないので、ロードサービスを呼んだ方が無難です。
インロック対策で、スペアキーの非常用メカニカルキーを車体に隠しておく方がいますが、セキュリティ的にオススメ出来ません。
スペアキーが手に入る状態であれば、第一優先でやるべきです。
スマホがクルマのカギに!!
最新のHonda Total Careプレミアムのホンダコネクト(Honda CONNECT)デジタルキーアプリを使えばスマートフォンでクルマのドアロック操作、解除やエンジン始動ができます。
他にも、ドアロックのし忘れや窓の閉め忘れ時にスマホに通知したり、広い駐車場でクルマが見つからない場合、地図上でクルマの位置を確認する事も出来ます。
もちろん、スマホの充電がなければ機能しませんが、ホンダコネクト(Honda CONNECT)対応車両であれば、常にスペアキーを持っている状態になります。
インロックの心配は減りますね!
自分でドアを開ける
これは、最終手段です。車内に赤ちゃんやペットが閉じ込められ緊急を要する場合は、窓を割るしかありません。
特に夏場は、あっという間に車内温度が50℃を超え熱中症になってしまいます。毎年事故が起きてますが、15分前後で車内温度は50℃になってしまいます。
自動車のガラスは面に対して力を加えても割れないので、鋭利な物で一点集中で力を加えると割ることが出来ます。また後部座席の小さい三角窓の方が修理代が安く済みます。
動画を見ると分かりますが、ドライバーやハンマーでもガラスは中々割れません。また、小銭入りのビニール袋を窓に打ち付けるのは、袋が破れて小銭をばら撒くだけなのでやめましょう。
緊急脱出用ハンマーやオートポンチは先が尖っているので簡単に割れます。1秒でも早く鍵を開ける必要がある場合は、ガラスを割るしか方法はありません。
もし、開錠に時間をかけられるのならば
インロックした場所が自宅などで、今すぐクルマの移動の必要がない場合、開錠道具でこじ開ける方法もあります。
このようなエアバックを車に差し込み、膨らませる事で隙間を無理やり作り隙間から、針金などでドアノブ開けます。
ただし作業にコツがいるのと、クルマのドア周辺を破壊してしまう恐れがあるので、あまりオススメ出来ません。
インロックを解除したら
インロックを解除したら、後はエンジンをかけるだけです。スマートキーの電池残量が残っていて、開錠できれば問題ないのですが、電池切れの場合はこのままではエンジンがかかりません。
近年の自動車には、「イモビライザー」とよばれる防犯装置が装着されており、鍵の中に「トランスポンダ」とよばれる暗号化されたIDコード送信機とスタートボタン周辺に「レスポンダ」とよばれる応答機があります。
したがって、電池切れで電波の飛ばないスマートキーでは、いつものようにエンジンを始動させようとしてもIDコードが照合出来ないので、エンジンを始動させることができないのです。
電池切れでスマートキーでエンジンをかける方法
イモビライザーは、車両側に内蔵されているアンテナからイモビライザー側に電源が供給さすれば、エンジン始動をすることが可能です。
そのため、スマートキーをスタートボタンに触れる位に近づけると、IDが照合されエンジンがかけられるようになります。
しかし、スタートボタン周辺の応答機がなかなか反応しない場合が多いので、あくまで緊急用の動作になります。
早めの電池交換をオススメします。
スマートキーでインロックを避けるために
スマートキーは常に電波を送信し続けるので電池を消耗し続けています。また、磁気を発生する電化製品の近くに置いておくと、さらに電池を消耗してしまいます。
- TV
- パソコン
- 携帯電話やコードレス電話機、充電器
- 電子レンジなどの電磁調理器
これらは、磁気を多く発生するので、なるべく1m以上遠ざけましょう。ボタン電池にも当たりはずれがあるので、1年に一回位の定期交換すれば、安心です。
スマートキーで注意すること
常時微弱な電波を飛ばすスマートキーですが、便利さの仕組みを逆手に取って悪用するのがリレーアタックによる盗難です。
通常、家の中やお店などのクルマから遠く離れた場所では、電波が届かないため、開錠・施錠やエンジンの始動は出来ません。
しかし、特殊な装置を使用してスマートキーに近づくと電波が増幅され、遠くに飛ばす事が出来てしまいます。この電波をリレーのように橋渡しすることで最終的にはクルマにまで電波が飛んでしまうのです。
通常複製した鍵は、イモビライザーのID認証でNGになりエンジンはかからないはずなのですが、増幅された本の電波は普段使っている正規のIDなのでイモビライザーは認識してしまうのです。
キーレスエントリーはボタンを押したときのみ電波を飛ばすので問題ないのですが、常時電波を飛ばすスマートキーは注意が必要です。
リレーアタックを防ぐために
リレーアタック対策には電波を遮断するか、新たにセキュリティを追加する方法しかありません。
しかし、社外のセキュリティシステムは5万円〜以上するので痛い出費になってしまいます。そこで車屋の私がオススメするコスパの良い防犯グッズを紹介します。
ハンドルロック
ハンドルロックは、ハンドルを固定し開錠しないとハンドルがきれなくなります。また、ハンドルを無理やり回そうとすると、車のクラクションが自動で起動する仕組みになっているのがポイントです。
また、ヘッド部分は窓割りハンマーとして使用できます。事故や災害など車のドアが開かない緊急時にも役立ちます。
ハンドルに挟んでロックするだけなので、手間も数秒で済むのでオススメです。
電波遮断ポーチ
車外にいる時に、スマートキーをポーチに収納する事で電波遮断しリレーアタックを防ぎます。
電波遮断ポーチは、電波防止繊維を贅沢に3層に重ね、微弱電波の漏洩・ハッキングをブロックする仕様となっています。
電波遮断キーケースもありますが、こちらはポーチなのですぐに取り出せるのがメリットですね!
最後に
スマートキーは、電池が切れたときでも車を使用することができますが、電池が切れてしまう前に交換してしまうことをオススメします。
クルマは便利になるのと比例して、車両盗難も巧妙化しています。今回「リレーアタック」を解説しましたが、他にも「イモビカッター」「コードグラバー」といった道具を悪用した盗難事例もあります。
便利なスマートキーですが、その特性を理解して、しっかりと防犯対策が必要です。